いよいよ4月に突入します。もう数分で新年号が発表されます。
皆様の中で予想されている名称はありますか?
発表が待ち遠しいところです。
さて、今日はSSTについてのお話です。これまでSSTを体験されたことのある人や、
どなたから話を聞かれた方の中で、「SSTは苦手です」というお声も時々聞かれます。
お苦手な理由をお伺いすると、次のようなご意見が多い印象を受けます。
・なんでもかんでも「いいですねー」と言われ、拍手されて終わる気がする。
・寸劇をやるのが恥ずかしい。
確かに、SSTには「人のよい所を探してほめましょう」というルールがあります。
そのため、ロールプレイでのご様子をなるべく肯定的に受け止めるという練習は行います。
それで、「なんでもかんでもいいですねー」という風に聞こえてしまうのかもしれません。
人の脳は、悪い事の方をよく覚えていたり、批判的な思考にしまっているとそこから
抜け出すのに時間がかかるらしいのです。それもあり、人のことを意識的にほめるという
のはSSTではよく行うことではあるのです。
それでは、SSTは単にほめればよいのかというと、そうではありません。
先ずは、なぜほめることが大切なのかをセッション中には考えて行きます。
皆さんはご自分が頑張ったと思う事について褒められるとどんな気持ちになりますか?
「嬉しいと思う。」、「本当にそう思っているのかと疑問に思う。」など
色々あるでしょう。
反対に、ご自分が頑張ったと思う事について批判的な言葉を受けたらどのような気持ちに
なりますか?批判的な言葉というのは例えば「そのなのやって当たり前でしょ。」
とか、「僕なんて、それよりもっと辛い思いをするまでの努力をしたよ」などです。
人は、ほめられたほうが、例え疑わしく思った場合でも、次の行動に向かって「よし、や
ってみよう!」という気になりませんか?ここが大切なポイントです。SSTではこの「よ
し、やってみよう!」を実生活で取り入れて頂くことを目的としています。ですので、「
なんだ、やっても上手く行かないし、どうせ自分はダメなんだ」と思わず、次のステップ
を踏んで頂きたいという理由から、グループの練習では「人のよい所を探してほめましょ
う」がルール化されています。
また、ほめる時も「話すときの間の取り方がとてもよかった」や「1回目の練習より2回
目の方が簡潔にまとめられていてよかった」という具合に、何が良かったのかを具体的に
挙げて頂きます。こうして、ただ「いいですね」、というだけではなく、「何がどのよう
に良かったので、それを今後も続けてみて頂きたい」、という意味が「ほめる」という意
味合いには含まれています。
では次に、「寸劇をやるのが恥ずかしい」というのはどうでしょうか。
SSTでは、自分が困っている対人関係のやりとりを克服したり、目標にしているイメージ
を達成したりするためにロールプレイという方法で練習を行います。ロールプレイはなる
べくその方の困りごとやなりたいイメージに想定される自分像に近くなるように場面設定
を行っていき、臨場感を出していきます。例えば、話の受け手には実際に見た目や話し方
が似ている人を選びます。また「オフィス」の場面であれば、実際にデスクとパソコンを
準備して場面を作ります。
これが「寸劇」に見えて、あたかも劇の練習をしているかのように感じられる方もいるか
もしれません。
しかし、SSTは「劇や場面の練習」ではなく、あくまで「スキルの練習」です。例えば
、「嬉しいと思った事を相手に上手に伝えするキル」、「人の話に耳を傾けるスキル
」、「自分の不快な気持ちを上手に伝えるスキル」、「人に相談するスキル」、「頼みご
とを断るスキル」など、会話における自分の行動や言葉の内容、話し方などを獲得してい
く練習です。これらのスキルは「その場面」だけではなく、日常に起こり得る他の場面で
も使うことができます。「人に相談をする」場面と言えば、「最近どのように付き合って
良いか分からない友人のことを別の友人に相談する」場面もありますし、「職場で上司に
仕事中の不調について相談をする」場面もあります。もちろん、その他の「相談する」場
面は多くあります。その時のために「スキル」を練習して頂くのです。
そのスキルの練習をしていく際には、自分が相手の言葉をどのように感じ取り、「だから
こうする」という所から考えて行きます。これまでのご自分の行動「今まではこうしてい
た」について共に意見を出し合い、「これからはこうすれば自分の気持ちや考えが相手に
上手く伝えられるのでは」という解決策を出していきます。
これまでのご利用者様などから、時々「えー、SSTやっているの、困ったな」というお話
を伺うことがありましたが、これからも微力ですが、SSTの練習の意味や行う事の本当の
意味を少しでもお伝え出来たらと思います。