今回は『思考記録表』6カラムの作成に当たり、なぜ各項目『1状況』『2気分』
『3自動思考』に分けて考えていくのかについて、その理由と効果についてのレクチャー
をしました。
まず『1状況』をいつ・どこで・誰が・何を・どうした というように分けて書くのは、
出来事から感情や思考を切り離し、客観性を持たすためです。
このことにより、感情や思考や出来事と自分との距離を置けるようになり、第三者にも
理路整然と話せるように慣れば、気持ちに落ち着きが生まれ、その後の展開を建設的に
考えれるようになる効果が考えられます。
そして、『2気分』『3自動思考』を分けるということは、感情を生み出している
のは、思考(捉え方)であるという CBT(認知行動療法)の考え方によりその不快な感情の
基を探し出すことになります。不快な感情の基を絶てば、気分も良くなるという効果が
得られます。
このように、思考記録表を記入しながらも何をやっているのか、どこへ向かっているの
かの自覚を促すための説明をしました。
このあと、予定としては、自身の生活の中から、状況をピックアップして実際の
思考記録を記入してもらうはずでしたが、2 人の利用者さんからのたっての希望でまたま
た例題を用いて記録表の練習となりました。
しかし、この度 2 名を除いては実生活から状況を設定してもらいました。
例題を用いたお二方は、だいぶ慣れていらっしゃたと見えて、お時間を掛けながら
も四項目めの『認知の歪み』まで完成されていました。
今回の認知の歪みでは、自動思考を少し詳しく話してもらいながらその自動思考を
生み出したであろう、思い込みを見つけ出すというところまで掘り下げました。
一人ひとりにお話をお伺いする形になりますので、なかなか時間のかかる作業でしたが、
その中でご自分のパターンに気づかれたり、新たな認知の歪みを発見された方が
2 名いらっしゃいました。
御本人的には、かなり刺激的な発見だったようです。
CBT のワークは何回も行ってコツを掴みながら思考を深掘りしていける、自己理解
ツールですが、行きつ戻りつを繰り返しながら身につけていくものです。皆さんには
ゆっくりで構わないので、きちんと身につけていっていただきたいと思っています。
次回は、『適応的思考』にトライしていきます。