今回も、思考の拡張・柔軟性のトレーニング「リフレーミング」の続きとして、状況のリフレーミン
グを皆さんとご一緒に考えていきました。
例文の「彼女は懐疑心が強い」を取り上げてみますと、「懐疑心が強い」は信頼関係という意味にお
いては、不利な性質と言えるかもしれないのです。何かと人の言うことに、疑いのまなざしや、明ら
かに疑っていると感じさせる質問を重ねてこられると、こちらとしても話す気が失せてしまいますよ
ね。ところが『状況のリフレーミング』では、一見ネガティブなよくないと思われるその性質・言動
が有利に働くあるいは懐疑心が強くて役に立つ状況とは何かを考えていきます。
そうしますと、「詐欺に引っかからない」的なその性格ゆえに危険から身を知らず知らずのうちに
守っているのではないかとも考えられるので、状況としては「マルチ商法・新興宗教・その他怪しげ
な団体から勧誘された時」などが考えられることになります。
このように、自分の性格特性を変えずに状況が変わることでその特性が十分生かされることを見つけ
ることで、むやみに自己否定自己卑下をすることなく、自己イメージを中庸にとらえていけるのでは
と思います。これは自分のとらえ方を多方面からとらえる視野の拡大や、自己受容にとってとても大
切なことなのではないでしょうか。
とかく私たちは、自身のあそこがダメここができてないと、ダメダメなところにばかりに注意を向
け、あるいは性格の一面だけをとらえてダメと決めつけていることが多いように感じられます。これ
は非合理的・非現実的な捉え方と言えるのではないでしょうか。現実にはあるいは理論的に考えて、
「全然ダメ」なわけはないよねー。人の役に自然と立っていること、また、自身でヤッターって思え
る瞬間は人生で結構あると思われるのです。ですが日常を振り返ってもこれらのことに思いが
なかなか至らないときもあります。そんな時は物事の見方が一様になっているのかもしれません。
『リフレーミング』は内容についてでも、状況についてでも、そんな見方を広げてくれる、緩くして
くれる、違う側面を見せてくれる可能性がいっぱい詰まった、手法です。
この講義を機に皆さんもいろんな見方、とらえ方、考え方に思いをはせてみて頂けたらと思います。