今回から、従来の認知行動療法にて、『認知』を扱う講義に入りました。
認知行動療法の核心です。これは『認知』の領域を 3 層に分けて考えて『スキーマ』に
アプローチしていく理論です。
「スキーマ」は人の固定観念を作り出している大本のもので、自身に「こうあるべき・
こうだと信じて揺るぎない信念」などのことを言い、その大部分は当たり前過ぎて、
普段気づくことがないもの。と前回でもご紹介したものです。
この度、「スキーマはいつできる?」「良いスキーマと悪いスキーマがあるの? 」
「スキーマとラケット感情は同じなの?」など、たくさんのご質問が出ました。
『スキーマ』という概念に多くの方が反応された模様でした。
『スキーマ』は頑固な固定観念のようなもので、その中でも心の問題を引き起こす
原因になるのが人生の初期段階で身につけた早期不適応スキーマと呼ばれるものです。
私達はそれぞれのスキーマを強化しながら生きていると言われています。なのでいつでき
たかについては時期を明らかに特定することは難しいです。が、認知行動療法では
スキーマができた時期が分からなくても、「今ここでの心の不都合」を扱うことになる
ので、作られた時期に思いを馳せる必要はないのです。
また、『強化しながら生きている』とは、自分や物事に対する固定観念=スキーマが
正しいことを立証しながら生きているということです。
スキーマ自体は突き詰めればいいとも悪いとも言い難い面があります。なぜなら
身につけた固定観念が実生活でどう転ぶかはわからないのです。不適応状態になった
とき心に不都合が起きたとき、ご自身のスキーマと向き合うチャンスのときなのではと
思います。
そして、ラケット感情と似ていると感じた方も吉祥寺と合わせて、何人かい
らっしゃいました。基本、スキーマは認知行動療法の理論で揺るぎない信念=思考の
ことで、ラケット感情は交流分析の理論で感情を扱っています。
ですが、形成のされ方は育っていく過程の周りの大人の影響を鵜呑みに取り入れたという
点で似ていると感じられたのではないでしょうか。興味深い着眼点だと思います。
来週はスキーマを扱うワーク(下向き矢印法といいます)にガッツリ取り組んで行きます。