今回は前回の続きとして、思考記録表 6 カラムの適応的思考に取り組みました。
前回に引き続き、一人一人のカラム票をグループで考えていくという形でおこないました。
前回で見つけた各自の認知のゆがみに対して、適応的思考をグループ内でアイデアを出し合い、
みんなで考えていくというように進めていくことにしました。
そして適応的思考をグループで扱う前に、私たちが目の前の出来事(情報)をどのようにインプッ
トし、そしてアウトプットしているかについてをお伝えしました。
私たちは目の前の出来事(情報)にほとんど習慣的に意味づけをします。それぞれの意味付けにた
いして感情を持つ・言葉を発する・行動を移すなどの反応が起こります。では、様々な反応を起
こす意味づけはどのようにされるのでしょうか。今まで取り組んできた CBT で扱う認知の在り方
もこの意味付けの一端を担っています。
これは個人的なもので、興味の対象の差や認知の仕方など育ってきた環境などからの影響を受け
ています。
これに加えて、身体的なものも意味づけに一役買っていて、これは五感覚の個体差によるものが
影響を及ぼしていると言われています。目がいいあるいは悪い人・聴力がいいあるいは悪い人嗅
覚が、味覚が。ある人には聞こえていて、ある人には聞き取れないなど。人によって情報の取り
入れ方や量が異なります。このことだけでも人それぞれでの事実が存在することになります。更
に文化的(国民性・県民性・地域や各ご家庭)な違いが加わり、同じ出来事を見ていても、個人に
インプットされた時にはこれらを通過して目の前の出来事は各々の脳の中で再構築されて、
ちょっとだけ、あるいはまったく違ったものとして認識されそしてアウトプットされていくこと
になります。
ここでお伝えしたかったことは、出来事のとらえ方は十人十色が当たり前という感覚を意識して
いただくこと、そして、自分がてっきりそうだと思っている現実は頭の中で再構築された物語で
あること、最後に頭の中で作り上げたものは、頭の中で変えられるという、可能性です。
このことを踏まえて、適応的思考を考える=今までの思考を脱ぎ捨てて新しい思考を再構築して
いくことに取り組みやすくなればと思いお伝えしました。
お伝えした瞬間は、皆さん疑問?受け入れがたい?ピンと来ていないご様子でしたが、グループ
ワークが進むにつれて静かな熱気と思考の持ち替えにトライしている様子が見られるようになり
ました。
先にお伝えした頭の中の再構築には何も思考だけでなく、五感覚を使う方法も可能であることを
説明しました。例えば、「夕べ食べたステーキの味を思い出すことが可能であること」を皆さん
に体験していただき、五感覚も頭の中で再現できる、これは脳が現実を再構築していることをお
伝えしました。このことを用いて、「いつも初めてのことを体験する前に緊張する」と発表して
いただいた方に、好きなことを始める前のワクワクの感覚を再現していただき、初体験時に感じ
る緊張にその感覚を思い起こすことでリラックスすることをご提案しました。
また、今回はグループワークの醍醐味とも言える、フィードバックを用いて、自己イメージの再
構築を図ってもらいました。「自分は会話が苦手だ」というシェアをして頂いた方の自己概念を
グループメンバーからのグッドニュースによってリフレーミングしていく試みをご提案しまし
た。出していただいたアイデアは「聞きせん(専門)・聞き上手・話しやすい・落ち着く」など
で、この中から先の自己イメージが出たときにイメージを持ち替えることに取り組むことになり
ました。
今回と前回のグループワークを通じて、日常を共にする方々同士のラポールが形成されているこ
とが伺い知れる優しくて素敵な時間になりました。
このようなグループワークがいい感じに仕上がるということは、メンバー間の信頼関係と各メン
バーの成熟度にかかってきます。
皆さんの受容性や協力的姿勢(お互いのためにワークに参加すること)に改めて感謝いたします。
ありがとうございました。