今回は、前回の続きとして、例題のケースを「認知の構造の図」に分化して、
ワークシートに記入していただきました。この日は 2 組=受講数の少ない方お二人で、
1 組=2 回目の受講方からの質問が多く出され、説明が複雑で深いものへとなっていきま
した。
2 回目の受講になると、どこがわからないのかが明確になってくるようで、一回目の説明
を掘り下げても、理解が得られやすくなるように感じられました。
質問はストレスのかかったポイントをどの時点に絞るのかについてでした。
日常でも、ストレスに関するエピソードが起こってから時間の流れによって考え直すこと
があり、それに伴い気分が変化するということは、よくあることです。
ですがそれらを全て 認知の構造の図に書き込もうとすると、分化がうまくできないこと
が起こります。
今の段階での課題は、I.ストレスが生じた原因を 5 領域(環境・状況など/認知/感情・気分
など/身体反応/行動/)に分けること、II.どこに問題が発生しているかを見つけることにあ
ります。
ですので、例題を読み話し手が一番ストレスがかかったのは、何時で、どのエピソードで
あるかを見つけ出すことも大切になります。これはこの先、カラム法や、下向き矢印法に
取り組むときにも、この視点はとても重要になってきます。時間の経過で感情が思考によって変化してしまうと、「楽になったからこれで良し」という発想につながり、
問題の根本は野放しになりかねないからです。
今回この説明に加えて、感情には情動・気分・情操の 3 つがあることをお伝えしまた。
情動とはあるエピソードで感情が瞬間的に動いた感情を指し、気分とはある感情が
一定期間心にとどまっている状態を言い、情操とは体験や教育により育てられた感情を
表します。
そして、認知行動療法では情動と気分を主に扱っていることをお伝えしました。
ワークでは情動のきっかけになった思考は、気分のきっかけのそれよりも若干見つけやす
いかもしれません。
このように詳しい説明をお伝えするにあたって、受講回数を重ねた方々には
「そもそも論」(概論のようなもの)をお伝えすることが理論やワークへの理解を深めるた
めに有効で必要なのだと感じました。
折を見て、お伝えできる限りの説明をさせて頂こうと思います。