今回からは、いよいよ交流分析の大詰め『脚本分析』という最後の分析に取り掛かっていきました。
『脚本分析』とは、ということで、私たちはそれぞれに知らないうちに人生のストーリーを決めている
と、交流分析では考えます。人の性格は十人十色。
コミュニケーションのパターンも、それぞれ。
非建設的なかかわりや行動や性格もひとくくりにはできないくらい、千差万別です。ですので自ずと人
生もそれぞれに特徴のある人生を送っています。それでは、この様々な人生はどんなふうにして出来上
がってきて、そして今も作られ続けているのでしょうか?
その成り立ちを解き明かすために、交流分析では『人生脚本』という概念を用いました。こう聞くと、
人生設計やライフプランと思われるかたもいらっしゃるかもしれませんが、そうではなく、もっと無意
識的で、その存在に気づくことが難しく自分にとって不都合なことが起こりがちな、ストーリーなので
す。
それなのに生きていくうちにどんどん脚本は肉付けされ、強化され、確認するためにまた不都
合を呼び起こしてしまうという、理不尽な側面を持ったものです。
たとえ話をします。
≪入社2年目の A 君は同期の中でも優秀で、期待の新人でしたので3か月の海外研修に異例の速さで抜
擢されました。
いよいよ出発の日が近づいたある日、突然原因不明の発熱や発作に見舞われて、検査入院になりまし
た。
そして退院の目処はつかず、研修メンバーからは外されてしまいました。A 君の過去を振り返ると、小
学校の時弁論大会のクラス代表に選ばれ練習を重ねるも、当日腹痛で動けなくなり、リタイア。中学の
時サッカーのスタメンに入って全国大会の決勝マ間近、足を骨折、全治2か月。高校の時・・・。
とまぁ、人生の花道を幾度となく踏み外す経験を重ねていたとのことでした。≫
ここまででお気づきの方も多いと思います。繰り返される理不尽な出来事。
しかしそれはパターン化されて、望まざる出来事が節目節目にやってくる。運命ってなんで残酷!・・・。
でもでも、交流分析ではこれを脚本と呼びそれは、自分自身が書き下ろした人生のストーリーですよ、
と言っています。
この A 君ほどではないにしろ、皆さんにもうっすらとでも思い当たることがあるかもしれません。
交流分析では脚本に従って生きることは、本当の自分を生きていないことと言っています。脚本に気づ
き脚本から脱却していくために、まずは脚本の正体を学び、そこから抜け出していくワークに取り組ん
でいきます。
今回はの講座では、その正体を一つ一つ暴いていきました。参加者の方々は身に染みて納得のご様子で
した。
次回は脚本からの脱却に取り組んでいきます。