前回は、『思考』『感情』『感覚』の 3 領域を分けて把握することを重点に進めて
きました。今回は、『思考』に焦点を戻しその中でも、イラショナルビリーフ
=非合理的思考が詳しく分類された【認知のゆがみ】についてご紹介していきました。
認知のゆがみとは私たちが問題を抱えるとき(=ストレスを感じたり、不適応な行動を
とったりする時)に陥りやすい認知のパターンのことです。認知のゆがみには 10 項目の
分類がありますが、ご自分が陥りやすいパターンを意識していただくよう促しながら、
説明をさせて頂きました。始めに 2 回目受講者の方々に一項目ずつの説明をして頂いた
後、こちらからも補足と例文などを用いて、詳しく説明させていただきました。
この次
に取り掛かる 6 カラム法のワークの準備段階として、大切な項目になります。
ご利用者の方々から、活発に質問やシェアが出され、笑い声の起こる講義になりました。
この項目の説明の際にクラスによっては、お葬式のような雰囲気になる場合があります。
この現象は、私の経験から見ると、ご自分の認知パターンに気づきがあり、なおかつその
認知を認めている方が多いクラスに起こることが多い様に感じます。
そして、この日のメンバーは 2 回目受講の方が大半ということも雰囲気に影響があった
のではと思います。
ご自分の認知パターに気づいた、あるいは再確認した方が多い中、一方で、その認知を
持っている自分に対して、自己嫌悪や劣等感・自責の念などを感じることがあるとの
シェアも多少あり、自己受容についてのお話をさせて頂きました。自己受容は、ゆがんだ
認知を持っている自身をどう扱うかということです。せっかくいい気づきをしても、
自分を責めていてはその先の進展が得られないのです。ゆがんだ認知を責めるのは構いま
せんが、自身を責めないで欲しいのです。なぜなら自身を責めるとやがて自身を直そうと
します。
それは別の自分になろうとすること、今の自分を否定することになりかねません。
心に痛みと無理が生じます。直すべきは「ゆがんだ認知」です。ではそれを誰が
治すのでしょう。それは「自分自身」です。自己否定から入ると自らに備わっている、
自己治癒力や回復力・問題解決能力の否定につながります。でも、私たちには
自力がもともとあるのです。その力を引き出すのが自己受容なのだと思います。
このことの理解を深めるために折に触れお伝えしていきたいと思います。
楽しい(?)雰囲気の中【認知のゆがみ】の説明を終え、思考記録表 6 カラムの説明に
入りました。6 カラムは 6 項目の欄別に表を埋めていくものですが、1状況2気分3自動思
考の項目に分ける意味と効果についてお伝えしました。
1状況のみを書き出すということ;ストレス要因について客観的に言語化できること。
そのことで自分と出来事の間に距離を取ることができる。
2気分;自分の心に起こっている感情・感覚を言語で表現する(感情の名前を付ける)こと
により感情・感覚の存在を認識して、向き合う機会を得る。
そのことで、心が落ち着く。
3自動思考;
感情を生み出しているのは考え・とらえ方・認知であるという見地から不快な感情の
もとを見つけ出す。そして持ち替えるための前準備とする。
この理解のもと、次回から 6 カラム法にガツッと取り組んでいきます。