今週のSSTでは、ビジネスシーンでの対人スキルに焦点を当てて練習を行いました。
個別の短期目標への達成につなげていくため、次の練習課題からご自分でスキルを選んで
頂くやり方で進めていきました。
・遅刻をした後に謝る
・先輩や上司からの指摘に応じる
・相手の話を聞く態度をどうするか
・自分の間違いを認める
普段のご自分のご様子や苦手に感じていることなどを振り返って頂きましたところ、何名
かが「先輩や上司から指摘に応じる」スキルを選ばれました。
今日はそのうち2人の練習をご紹介させて頂きます。
Aさんの「先輩や上司からの指摘に応じる」
実際に外部実習に行かれ、実習先企業から自分が自信をもって提出された成果物について
「不可」の評価を伝えられたことを例に挙げて練習されました。その時は、「自信があっ
たのに、ショック!」と動揺されたとのことでした。最初のリハーサルを拝見すると、「
この成果ではちょっと不可だな」と企業担当者から言われた時、「はい、すぐに直します
」と素直に応じられて物腰も丁寧なご様子でした。SSTグループの皆さんからもよい印象
を持たれていました。さて、印象が良い今の状態から更に良い提案をすると何がありそう
でしょうか。皆さんにも提案のご意見をお伺いしたところ、練習されたご本人から、「今
考えるとこういう風にできればよかったな、と思うことがあります」と自らご提案があり
ました。
そのご提案は何かというと、「自分から『よろしければ具体的にどういう所を修正すれば
よろしいでしょうか』と聞けたら良かった」というものです。
確かに、相手からの「不可」の回答でショックを受けているその時は、動揺を隠して対処
することで精いっぱいだったかもしれません。その気持ちを認めつつも、不可の理由につ
いて具体的に自分から聞くことができれば、より良い成果物につながるかもしれない、と
思いました。
改善案を取り入れた練習では、相手と遠慮がちながらも誠実なやり取りを続けられていら
っしゃり、ぜひ本当にそうしたことがあっても実践をして頂けるとよいなと考えました。
Bさんの「先輩や上司からの指摘に応じる」
Aさんの練習をご覧になり、「自分はいつもAさんのように物腰柔らかく対応ができない。
指摘を受けたら『どこが悪いんだ、このやろう』と喧嘩になって今までいいことがなかっ
た」と仰り、このスキルを選ばれました。スキル練習の状況として、自信を持って提出し
た企画案に対して、上司から「全然だめだね」と言われた時のことを挙げられました。
当時はその言葉に憤慨され、職場で周囲を巻き込むような大きなトラブルとなったとのこ
と。
そんなことをしても誰にも何も良いことがないと思われ、今回「お互いwin-winになれる関係
性ができるような対応したい」と練習への希望を伝えられました。
リハーサルでは相手からの言葉に一瞬表情が険しくなられていましたが、落ち着いて、提
出書類の改善をしたいことを伝えられましたが、更に練習の相手役からダメ出しのように
「ここも、ここも、全然だめで話にならないよ」と言われ、ひるんで引いてしまいました
。
そんなときどうするか?と改善の提案をグループで意見を出し合いました。
またこちらの練習でもご本人から、「改善をするようにするという意気込みを伝えたうえ
で、質問があれば聞かせてほしいこと、添削の時間を割いて相手に感謝の気持ちを伝える
ことをしたい」とご提案がありました。
改善案を取り入れた練習では、態度や目線の非言語も物腰が柔らかく、とても真摯なご様
子が伝わりました。いつもご自分で「すぐに怒りが爆発してしまう」と仰るときのご様子
がなく、相手の言葉をしっかりご自身で受け止めながら、どのように意気込みと感謝の気
持ちを伝えたらよいのかを考えながらゆっくりと話を進められていました。
グループの皆さんも、パワーあふれるいつものBさんと異なる一面をご覧になり、「真摯
さが丁寧に対応されることで伝わっていて良かった」とよい印象を伝えられていました。
今日のAさんとBさんの練習から、同じ「先輩や上司からの指摘を受けた時」でもショック
で動揺してしまう方、怒りを持って反論してしまう方、それぞれ受け取り方が異なること
がよく見えてきました。
同じ応対スキルでも、自分とはタイプの異なるグループメンバーを参考にされ、ご自身の
練習に取り入れられていたように、グループの力が皆さんのスキルに役に立つというのは
SSTの利点の1つだと思います。
これからもグループの皆さんでスキルについて色々考えていけたらと思います。