今回はワークシート『下向き矢印法』を用いて、自身のスキーマを探すことに
取り組みました。
認知行動療法ではスキーマを3つの領域に分けてそれぞれのスキーマを見つけ
出していきます。3つの領域とは『自分について』と『他人について』と
『世の中について』です。それぞれのスキーマを見つけるために思考記録表でも扱った、
自動思考を用います。自動思考とはそれぞれの状況ごとに頭に浮かんでくる言葉や
イメージのことですが、これを生み出しているのがスキーマです。そしてスキーマは
普段意識されない心の奥底に密かに住み着いているものなので、表に現れた
自動思考を逆行する形で掘り下げて行き、スキーマに到達しようという試みが、
今回取り組んでいただいた『下向き矢印法』です。
実際にワークに取り掛かるにあたって、皆さんが難しく感じられたポイントが、
状況に囚われて、なかなか自身の認知に目が向かない点でした。延々と上司や、
通りがかりの自転車などについての意見を述べるにとどまるケースが多く見られました。
私達は自分に目を向けるということが苦手なようです。特にストレスに
見舞われたときには。なので自分や他者や世の中に向けられた批判・批難の言葉の
中から、その人固有の価値観(=思い込み)を見つけ出しその価値観を身につけるに
至った背景(自分が知らず知らずのうちに抱いた自己イメージ)について目を向けて
いただくように促しました。なぜななら、その人特有の思い込みを生み出す背景が
スキーマだからです。
慣れない作業で、時間がかかりましたが、コツを掴んだ方も多く、一様に各項目の
スキーマを見つけ出されていました。そして、スキーマに到達したとき大抵は
「納得感・腑に落ちた感・なるほど感」いろんな言葉で言い表される『これだ!!』
という確信を感じていらっしゃいました。
次回は、やってみた感想などをシェアして、さらなるワーク『反証と新しい
スキーマを考える』に取り組んでいただく予定です。