今回は特別メニューとして、TEG(東京大学医学部心療内科 TEG 研究会 編)の実施に絡め
て、『交流分析』のエゴグラムについての講義を行いました。
TEG とは、交流分析の中の精神分析法の一つであるエゴグラムを東京大学医学部心療内
科 TEG 研究会 によりアセスメントツールとしてまとめられたものです。
交流分析とは、1957 年にエリック・バーン(米 精神科医)によって創始されました。
基本的理論は「人間関係や人の行動を理解するための理論体系」として、その理論に基づ
いた心理療法を含む精神分析法一つに位置付けられています。
交流分析には 4 つの分析法がありその特徴として、人の性格傾向や行動傾向、また人間
関係を数値化・グラフ化・図式化して見た目に分かり易く表すことができることです。
そして、精神分析とは言っても、アセスメントを取って終わりということではなく、
ご本人が望むなら、変容・回復に向けてのツールとしても用いられている、心理療法であ
ることも特徴の一つです。
そして、エゴグラム(TEG)はその 4 つの分析の中の一つです。エゴグラムでは人の性格
傾向・行動傾向が数値化・グラフ化でき、更に改善したいところに取り組むヒントがたく
さんあります。
人の性格は、多種多様なのですがそれを構成している要素を交流分析では 5 つの自我
状態(思考・感情・行動様式をまとめたもの)に分けて、それぞれの要素をエゴグラムを
用いて、点数で表しています。5 つの点数の配分によって人の性格や行動様式に違いが
出てきます。点数の高い自我状態はいつも使い慣れていて性格の特性になります。
こんな説明を交えながら、さっそく TEG を皆さんにやっていただきました。その後、
実施したことについての感想をグループシェアしていただきました。「アセスメントの
結果は見せあわなくてもいいです」と一言添えたのですが、結構皆さん見せ合いながら、
盛り上がっていらっしゃいまいた。感想としては、ものすごく納得・安心されている方が
大半でした。中には「自分の結果はつまらない」との感想もありましたが、グラフ化され
たものを見て、しみじみと「自分のかたちだな~」と異口同音な発言が目立ちました。
私自身も自分のグラフを見ながら「私ってこんな形!」と思っていましたので、皆さんの
反応には大きくうなずいてしまいました。
そしてシェアの時には、ある方は真っ先にご自分の結果をオープンにして、ある方は
アセスメント用紙ごとしまわれていたり、またほかのグループに遠征に行かれる方がい
らっしゃったりとシェアの時間の各々の言動にグラフが重なっていき、エゴグラムの面白
さを改めて感じました。
そして、皆さんが生き生きとされて楽しんでいらっしゃった様子に、自分を知ることは
パワーに繋がることが多いなと再認識させていただきました。この体験を機に自己理解と
自己受容を深めて、より生きやすい自分になることに取り組むきっかけとして頂ければ
いいなと思っています。
人は誰でも「今ここ」に生き存在しているのであり、
過去のどこかに居るのではない。
過去と他人は変えられない。
変えうるのは現在の自分のみである。
エリック・バーン