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2019.03.08.(金)
» ゲーム感覚で自分を発見できるプログラムスタート(TODAY吉祥寺)

 

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TODAY吉祥寺では、3月に入り、新しいカリキュラムが始まっております。
認知機能リハビリテーションです。

認知機能リハビリテーションとは、日常生活や職業生活を行っていく上で必要になる

記憶や優先順位を立てることや、計画を実行すること、あるいは相手の表情を読み取

ってより良い行動をとっていくなどの機能が阻害される「認知機能障害」を改善する

リハビリテーションです。

 

認知機能には上のような、記憶する、計画する、順序立てて遂行する、必要なことに

注意を向ける、情報を処理するなど、脳の働きに関係する「神経認知」と、SSTなど

でも練習を行う対人コミュニケーションに関係する「社会認知」があると言われてい

ます。

 

認知機能リハビリテーションでは、ドリルやコンピューターソフトを使って、両方の

認知機能にアプローチしていきます。

初めての日は間違い探しや、落下するボールをキャッチするゲームや、頼まれた買い

物リストを覚えておくというようなゲームを行いました。

皆さん初めてのゲームで戸惑われていましたが、すぐに操作やゲームのルールに慣れ

始め、楽しみながらも慎重に取り組まれていました。

 

パソコンソフトには、難易度も調整できるゲームが30種類以上ありますが、これらの

ゲームを行うだけだと、先に述べた「認知機能」を改善するのは難しいと言われてい

ます。

 

大切なのは、ゲームを通してどのようなことが行いやすかったか、難しかったか、ど

のようにしたらゲームのスコアが上がるかをグループで話し合っていくことです。不

思議なことに、ゲームを行う過程の特徴が、普段の作業やご家族とのやり取り、過去

の就労で上司などに指摘されたこと等と、リンクすることが多いのです。

例えば、筆者がゲームをしている時は、周りの視線を感じると焦ってしまい、マウス

の操作を誤って考えていた場所でクリックが出来ないという特徴があります。これは

、私が周りの目を気にして、自分の考えが揺らいでつられてしまうという特徴がよく

表れていると言えます。

 

こうした事は、就労で必要なスキルにも関わってきます。課題点だけではなく、得意

な点を発見する事も含めて、特徴を理解し、対処方法を身に付けるにはどのようにす

ればよいのかを、ご自分の言葉で発信されながら答えを見つけていくことが大切だと

思います。

 

このように、ゲームに加えて話し合いの時間を持つことで、ご自分をより客観的に捉

えることができるというのがこのプログラムの良い点だと思います。

最初の話し合いでは、普段はコミュニケーションが苦手と仰っている方々が、ご自分から

挙手されて何度も発言される場面が多くありました。主にご自分のゲームをされる時の様

子についてご意見が出ました。「慌ててしまった」とか「易しすぎるので油断してミスを

してしまった」など、作業についてあまり細かく振り返りを行っていなかったご利用者様

にとっては新鮮な気付きとなられたようです。

 

このプロセスを踏んでいくことで、面接時にご自分のことを的確に説明できたり、就労後

に壁にぶち当たった時にどのようにすればよいかを冷静に考えられたりということにも役

立つのではないかと考えています。それを裏付けるものとして、認知機能リハビリテーシ

ョンを1年間行った方と行わなかった方とでは、職場定着の期間やその後の昇進、給与額

に大きな差が出ているとの研究報告もあります。

 

まだ始めたばかりですが、皆さんと試行錯誤しながらより良い発見に繋げていけたらと考
えています。